宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

健診の心電図で心房細動と診断されました。自覚症状はありません。何らかの治療が必要ですか? (75歳、男性)

A.

心房細動とは心臓にたくさんの電気刺激が発生し、心臓が細かく震えるようになってしまった状態のことです。初期の心房細動は発作的に起こり、自然に正常な脈に戻ります。その後、常に心房細動が続くようになることもあります。心臓が不規則に収縮するため、動悸・息切れなどの症状を自覚することもあれば、全く症状のない方もいます。心房細動中は血液が心臓内でよどんで、血の固まり(血栓) を生じることがあります。血栓が心臓から流れ出ていくと、血栓塞栓症を生じます。特に血流の多い脳において脳塞栓(脳梗塞)を生じるリスクが高く、心房細動のない人と比べて約5倍の脳梗塞発症率があると言われています。そのため、心房細動の治療で最も大切なことは脳梗塞の予防です。脳梗塞発症の危険因子の有無に応じて血液を固まりにくくする抗凝固薬といわれる薬の内服を行います。抗凝固薬を内服することによって脳梗塞発症率を心房細動がない人と同等のレベルに引き下げることができます。また、心房細動そのものに対する治療としては、脈拍コントロールを行う薬の内服、あるいは抗不整脈薬といわれる薬の内服により、心房細動自体を抑制する方法があります。抗不整脈薬を用いても自覚症状がコントロールできない心房細動の患者さんには、カテーテルアブレーションといった心臓の筋肉を焼灼することで心房細動を治す治療法もあります。
心電図で心房細動を指摘された場合、病院への受診をお勧めします。

(2024年9月28日 サンデー宇部・山陽小野田掲載)

宇部仁心会病院院長
松本 奉先生
宇部仁心会病院松本先生

■プロフィル

大阪医科大学卒業、日本内科学会認定医・日本循環器学会専門医・日本医師会認定産業医
≪所属学会≫日本内科学会・日本循環器学会・日本透析医学会・日本静脈経腸栄養学会

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