宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

サルコペニアと言われたのですが?(75歳男性)

A.

 加齢や病気により身体の筋肉量が低下し、筋力や身体能力が低下した状態で、加齢性筋肉減弱現象とも呼ばれています。人の筋肉は年齢とともに徐々に低下していきますが、60歳頃を超えるとさらに加速していきます。原因はたんぱく質の摂取不足と運動不足により、作られる筋肉よりも分解される筋肉の方が多くなるのが原因です。 
 加齢のみが原因の1次性、原因のある2次性に分かれます。これには寝たきりや外出機会の減少で不活発な生活が原因となるもの、呼吸不良、消化管疾患で摂取量不足によるもの、心臓、肺、肝臓、がんなどの病気によるものなどがあります。
 筋力が低下すると、転倒しやすく廃用症候群と呼ばれる不活発な体の機能低下を起こします。生活の質(QOL)の低下、認知機能の低下などと関連してきて、要介護手前のフレイルになって行きます。簡単な検査として筋力握力低下(男性28kg以下、女性18kg以下)、5回の椅子立ち上がりテストで12秒以上、ふくらはぎのもっとも太い部分を両手の親指と人差し指で囲み隙間ができればサルコペニアの可能性があります。
 予防や治療では、高齢者においても抵抗を加えた筋力トレーニングを行うことで効果がでると考えられています。低強度のトレーニングを根気よくすることで効果が期待できます。
 スクワットなどの筋肉トレーニングやウオーキング、水泳、ラジオ体操などの有酸素運動があります。ウオーキングでは早歩きも有用です。
 家では寝ているより座る、座るより掃除、買い物、犬の散歩や趣味などに出かけ、食事は栄養をバランスよくとり、筋肉の材料となる良質の肉、魚、大豆、乳製品など、またビタミンDなどもとるとよいようです。

(2022年5月6日 サンデーうべ・ワイド掲載)

吉中内科医院院長
吉中 博志先生
吉中内科医院 吉中院長

■プロフィル

金沢大学医学部卒業。山口県立中央病院、山大内科系大学院、宇部興産中央病院などを経て昭和60年に開業。日本臨床内科学会専門医。

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