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医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

感染性胃腸炎にかかりやすく、今年度は3回かかり、かかった後はしばらく、胃のむかむか感や胃もたれ感、食後の腹痛、軟便などの症状が続いたりします。今後、日常生活で気をつけることはありますか。(63歳男性)

A.

感染性胃腸炎はウイルス、細菌、寄生虫(アニサキスなど)が胃腸に感染して起こる病気の総称です。一般にノロウイルスやロタウイルスなどの感染で起こるウイルス性胃腸炎は冬から春にかけて多く、カンピロバクター、サルモネラ、ブドウ球菌、病原性大腸などの感染で起こる細菌性腸炎は細菌が増殖しやすい夏場に多い傾向があります。
症状は原因となる病原体によりさまざまですが、胃痛、腹痛、発熱、吐き気、嘔吐、下痢などがみられ、下痢は血便を伴うこともあります。病原体の診断には、便のウイルス抗原検査や便の細菌培養などがありますが、便の細菌培養の結果が出るまでに5日間以上の時間がかかることや、ノロウイルス感染の場合、ウイルス抗原検査は健康保険の適応がない場合もあるため、日常の診療では食べた物や症状の経過から判断しています。
感染性胃腸炎の予防方法は、原因となる病原体が基本的に十分な加熱処理によって死滅することが多いため、しっかり加熱したものを食べることが大事です。調理する前や食事の前、トイレの使用後、嘔吐物の処理後には、丁寧に手洗いや消毒をしっかり行うことも重要です。
感染症全般に言えることですが、病原体が体内に入っても、感染する人と感染しない人があり、また軽症の場合と重症化する場合があり、免疫の働きが関係しています。免疫の働きが低下すると感染症にかかりやすく、また重症化しやすくなります。免疫力低下は、加齢や睡眠不足、栄養不足、運動不足、過度のストレスで起こる場合が多いため、日常生活では、食事、運動、睡眠などの生活習慣を整えることが大切です。
一部の患者さんでは、感染性胃腸炎が治った後も腹痛や下痢が持続する場合があり、感染後過敏性腸症候群と呼んでいます。症状が続く場合は医療機関に受診されてください。

(2024年12月6日 サンデーうべ・ワイド掲載)

てらい内科クリニック院長
寺井 佳子先生

■プロフィル

専門:内科一般、消化器科
資格:日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医

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