宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

母の介護と自分の仕事のことでの相談です。もともと親子二人で生活していました。母が脳神経の病気を患ってからは、ほぼ寝たきりの状態になり、現在も入院しています。以前は仕事の合間をぬって頻繁に様子を見に行っていましたが、パンデミックの影響でほとんど会えなくなりました。
最近は、母を自宅に引き取り、仕事を辞めて介護に専念しても良いのではないかと考えるようになりました。訪問診療で対応していただけると聞いたのですがいかがでしょうか?(40歳代、男性)

A.

 原則として介護離職はお勧めしません。たしかに、病院で長期療養中の患者さんの場合は家庭内での介護力があれば、ほとんどのケースにおいて訪問診療で対応可能です。訪問看護、訪問介護などの資源を上手に活用することで、家族の負担を減らし、自宅療養をしていくことは可能と思われます。
 しかし、経験的には介護のために仕事を辞め、そのことで収入が減ったり、やりがいを失ったりして介護者が疲弊してしまうことがほとんどです。また、見切り発車で介護離職をしたものの、病気悪化などで自宅療法できなくなるケースもあり、その場合は離職した意味がなくなり、後悔することになります。
 また、パンデミックが終息したら、以前のように面会できるようになると考えられます。(パンデミックには必ず終わりがあります。)
 もともと退職を検討していた場合は別ですが、本気で在宅介護を考えるのであれば、慌てて離職するのではなく、職場の理解が得られれば、残業を含む勤務時間や仕事量を考慮してもらい、医療看護資源を活用し、なんとか現状で自宅に帰ることができないかを検討してみてください。
 一人で抱え込むのはよくありません。現在入院している病院の相談員の人に思っていることを話してみてください。きっと力になってくれると思います。

(2021年3月27日 サンデー宇部・山陽小野田掲載)

波乗りクリニック院長
小早川 節先生
波乗りクリニック小早川先生

■プロフィル

平成10年 山口大学医学部卒業
日本プライマリ・ケア連合学会指導医・総合診療医
同大附属病院総合診療部を経て、平成26年5月 在宅療養支援診療所「波乗りクリニック」開設

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