宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

先日眼科を受診したところ「眼の中に粉が吹いていて緑内障になりやすい」と言われました。どういうことでしょうか?(54歳、男性)

A.

 虹彩や水晶体に白色の落屑物質(らくせつぶっしつ)が沈着する落屑症候群(偽落屑症候群=ぎらくせつしょうこうぐん、とも言います)と思われます。多くは50歳代以降で発症します。我が国では東日本よりも西日本で多く見られる疾患で、山口県でも多くみられます。
 落屑症候群自体による自覚症状はありません。診断は細隙灯顕微鏡で虹彩、水晶体を観察することによって容易になされます。
 落屑症候群の方では眼圧が徐々に上昇することが多く、20-30%の方で緑内障を発症します。落屑症候群の緑内障では眼痛などの症状は無く、かなり進行するまで自覚症状がありません。初診時に視野欠損を自覚している重症な緑内障の方では落屑症候群がしばしばみられます。治療開始前の眼圧が高い、徐々に眼圧が上昇することが多い、などの理由により他の緑内障よりも進行しやすく、点眼治療に加えてレーザー治療や手術治療などが必要な場合もあります。
 また、落屑症候群の方ではチン小帯とよばれる水晶体を支える糸がもろい、手術時に散瞳しにくい(瞳が開きにくい)、などに理由により他の方よりも白内障手術の難易度が高くなります。
 落屑症候群ではこの他の眼疾患も起こる事がありますので、自覚症状が無くても眼科でも定期的な観察が必要です。

(2021年10月9日 サンデー宇部・山陽小野田掲載)

くまがい眼科院長
熊谷 直樹先生
くまがい眼科熊谷先生

■プロフィル

横浜市立大学医学部卒業、同大学院修了 医学博士
横浜市立大学医学部眼科講師、山口大学医学部眼科助教授を経て
平成19年くまがい眼科開院 日本眼科学会認定眼科専門医など

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