宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

現在、妊娠20週の妊婦です。妊婦でもインフルエンザワクチンを注射しても問題ありませんか。

A.

 インフルエンザにかかると高熱が出ることもあり、妊婦さんにとってはおなかの赤ちゃんに影響がないか気になることと思います。厚生労働省は、流行時期の冬に入る前にインフルエンザの予防接種を推奨しています。それは、インフルエンザにかかると、肺炎や脳症といった重症となることが稀にありますが、インフルエンザワクチンの接種によってその重症化を予防することができるためです。

 またワクチンによる胎児への影響ですが、日本で使用されるワクチンは、不活化ワクチンであり重篤な副作用は起こらないと考えられています。また、催奇形性はないという研究報告もあります。よって、母体にも胎児にも影響は極めて低いとされ、希望する場合は予防接種をしても良いことになっています。

 誤解されていることもありますが、ワクチンを摂取してもインフルエンザに感染することはありますし、接種したからといって、接種当日からすぐに効果を発揮するものではありません。抗体が出来るには約2~4週間かかり、抗体のピークはおよそ1ヶ月後です。妊娠中は、母体の免疫機能が低下傾向にあり、妊娠によって心肺機能の低下もみられることにより妊婦さんはインフルエンザに感染しやすく、重症化もしやすい状態といえます。これからはインフルエンザが流行するようになりますから、ぜひともインフルエンザを予防接種されることをお薦めします。

(2016年12月14日 サンデーうべ掲載)

渡木クリニック院長
村上 明弘先生
渡木クリニック村上先生

■プロフィル

山口大学医学部卒業後、小野田市民病院、宇部興産中央病院、山口大学医学部附属病院総合周産期母子医療センターに勤務後に現職。

過去の相談