宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

50歳の男性です。数年前から職場の健康診断で血糖値が高い事を指摘されています。しかし、正常値よりも少し高いだけなので、医療機関は受診していません。このままで大丈夫なのかと不安を感じています。

A.

2型糖尿病は、全身の血管が傷つけられることによって、失明、足の壊疽(えそ)、脳梗塞や心筋梗塞を起こすリスクが高まる病気です。発症するおよそ10年ほど前から徐々に血糖値が高くなり、糖尿病へと向かうことがわかっています。だから健康診断で血糖値高めのいわゆる〝高血糖〟とわかったら要注意です。2年、3年と続けて高血糖の結果が出た場合は、既に血糖値を調節するすい臓に異変が起きている可能性があります。健康診断の項目で血糖値に関係あるのは、「空腹時血糖」と「HbA1c」です。それぞれ目安は空腹時血糖で110㎎/dL以上、HbA1cで5.6%以上が、いわゆる高血糖です。健診の結果を放置せず、必ず確認することが大切です。食事をすると血液中に血糖が増えます。血糖は大切なエネルギー源ですが、血液中に多いままだと活性酸素が発生するなどして血管を傷つけます。そこで活躍するのが、β(ベータ)細胞です。高血糖の人は、この大切なβ細胞に異変が起きていることがわかってきました。高血糖の人は血糖値正常の人と比べてβ細胞が13%も減っていたのです。さらに2型糖尿病の人は34%も減っていました。インスリンを大量分泌するうちに疲れ果て、やがて死んでしまうと考えられています。一度減ったβ細胞の量の回復は難しいため、早めの対策が肝心。高血糖は自覚症状がありませんが、気付かないうちに大切なβ細胞が減ってしまっているのです。血糖値対策の基本は食事と運動です。不安を感じている人はお近くの医療機関で相談してみて下さい。

(2025年2月22日 サンデー宇部・山陽小野田掲載)

金沢守クリニック院長
金沢 守先生
金沢守クリニック金沢先生

■プロフィル

平成2年:山口大学医学部卒業
山口大学医学部附属病院、宇部記念病院、阿知須同仁病院などを経て平成23年9月7日「金沢守クリニック」を開業

過去の相談