宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

境界知能とは何ですか?

A.

境界知能とは、一般的にIQが71から85未満で、知的能力症の診断が出ていない人に対して使われる言葉です。「境界知能」という診断名があるわけではなく、あくまで通称です。境界知能にあたる人は全体の14%、小学校の一クラス35人だと約5人いる計算になります。
境界知能にある人は、学習の難しさがみられることがあり、漢字や計算などが苦手でテストで点数が取れずに悩んでしまうことがあります。授業のスピードについていけないため、集中できず、じっと座っていることができない、という人もいます。
学習面だけでなく、対人関係やコミュニケーションの困難さがみられることもあります。集団生活でのルールの理解が難しいことや、相手の言葉の意味をつかめない、自分の気持ちをうまく表現できない、といった傾向があり、対人関係に影響が出ることがあります。
このように境界知能にあたる人は「何もかもうまくいかない」ということが積み重なり、非行や精神疾患につながる可能性が高いと指摘されています。ただ、診断がつかないことで、特別支援学級などの支援につながらないことが多く、生きづらさを抱えたまま、社会に適応できないケースが多くみられます。
境界知能といっても一人ひとり異なる困りごとがあり、対応方法も異なります。学校やかかりつけの小児科、児童相談所など相談できる場所があるので、ご家庭で抱え込まず、まずは一度相談してみてください。

(2024年6月22日 サンデーうべ掲載)

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