宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

疲れやすいのですが貧血ですか。(50歳女性)

A.

貧血にはいろいろな原因があり、胃切除によるビタミンB12欠乏、再生不良性貧血、肝疾患や腎不全に伴う貧血、溶血性貧血などがあります。最も多いのが鉄欠乏性貧血です。鉄欠乏は偏食やダイエットなどで摂取量が少ないとき。また、成長期、激しい運動、妊娠、出産、授乳期などで需要が増えたとき。月経過多、潰瘍からの出血などによる鉄の喪失が原因になります。
一般に貧血色素が、男性13mg/dl、女性では12mg/dl以下が貧血とされています。鉄は赤血球の他、細胞や皮膚、粘膜、免疫、コラーゲンなどの産生に必要とされます。
健康診断では貧血がないのに、フェリチンと呼ばれる貯蔵鉄が低い状態を隠れ貧血と呼び、色んな症状が起こることがわかってきました。
フェリチンは施設にもよりますが女性12以上が正常とされていますが、少なくても40-50以上が望ましいと思われます。
夕方に疲れやすい、イライラし、集中力がない。うつと同じような症状が出る、朝起きられない、めまい、息切れ、動悸、頭痛、肩こり、立ちくらみ、爪の変形、肌荒れなども有ります。
治療では医療用にフェロミアなどの経口剤や、また時に注射なども使用しますが、程度の軽い人は薬局などでサプリもあり、バランス良く食事をとることも大事です。
最近の食品は鉄含有量が減ってきていて、欧米では食品に鉄分を添加しているようです。
ヘム鉄は動物性食品に多く、吸収されやすく、レバー、赤身の肉、マグロ、イワシ。非ヘム鉄は吸収が悪く、大豆、ホウレンソウ、小松菜など植物性食品に多いとされています。ビタミンCやタンパク質を同時にとると吸収がよくなります。
リンを多く含む加工食品は吸収を阻害するといわれていて避けた方がよいようです。お茶に含まれるタンニンは、最近では鉄と一緒にとっても大丈夫と言われています。
気になる人はフェリチンを含む貧血の検査をしてもらって下さい。

(2023年9月1日 サンデーうべ・ワイド掲載)

吉中内科医院院長
吉中 博志先生
吉中内科医院 吉中院長

■プロフィル

金沢大学医学部卒業。山口県立中央病院、山大内科系大学院、宇部興産中央病院などを経て昭和60年に開業。日本臨床内科学会専門医。

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