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医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

市の大腸がん検査で、昨年、今年と便潜血検査で二回のうち一回が陽性となり、精密検査を受けるように勧められ、二年連続で大腸内視鏡検査を行いました。異常は認めませんでしたが、便潜血検査で陽性になるのはなぜでしょうか。軽い痔はありますが、出血などの症状は認めません。(70歳女性)

A.

検診で、便潜血検査で陽性となり、大腸内視鏡検査などの精密検査を受けたものの、大腸ポリープや大腸がんなどの病気が見つからなかったことを擬陽性と呼びます。昔の便潜血検査は化学法で検査を行っていたため、鼻出血、歯ぐきからの出血、鉄材の内服などに反応するため、擬陽性になることが多く認められました。このため、現在日本国内では、化学法ではなく、免疫法で検査を行っています。免疫法は人の小腸より下で出血した血液のみに反応して陽性になります。また、免疫法では、胃液などにより編成したヘモグロビンには反応しないため、上部消化管(口腔、食道、胃、十二指腸)からの出血では陽性になりません。
免疫法で擬陽性となる主な原因は、痔からの出血と生理的出血があります。健康な人でも便にごくわずかな出血が混じること(生理的出血)があり、便潜血検査で便を採取するとき、便を多量に採取したとき擬陽性となることがあります。採取する便は検査キットのスティック先端の溝に適量の便を採取することが大切です。キットにたくさんの便が付いたときは、トイレットペーパーでキットの先端の便を軽くふき取ってから、容器に入れるようにしてください。
大腸内視鏡検査を二年連続して受けられ、異常を認めなかったことから、数年間は大腸がんの発症リスクはかなり低いと考えられます。

(2023年8月4日 サンデーワイド掲載)

てらい内科クリニック院長
寺井 佳子先生

■プロフィル

専門:内科一般、消化器科
資格:日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医

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