宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

職場の人間ドッグの腹部超音波検査で、肝臓が脂肪肝の状態で、慢性肝炎に近づいているため、精密検査を受けるように指摘されました。アルコールは今までほとんど飲酒していません。また、肝炎ウイルスは陰性でした。若いころからかなり肥満で、血液検査で軽度の肝機能障害があり脂肪肝を指摘されたことがあります。今後、どうすればいいでしょうか。(59歳女性)

A.

 脂肪肝はその原因によって、大きく二つに分けられます。アルコールの飲み過ぎが原因となる「アルコール性脂肪肝」とNAFLDと呼ばれる「非アルコール性脂肪性肝疾患」です。非アルコール性脂肪性肝疾患は、画像診断または、組織学的に脂肪肝を認める肝疾患群であり、メタボリックシンドロームと関連する肥満、糖尿病、脂質性異常症、高血圧症を伴う場合が多いといわれています。日本人でも近年の食生活の欧米化と過剰な栄養摂取が異所性脂肪沈着の場としての肝臓の脂肪化を助長し、人間ドッグなどの検診受診者のNAFLDの有病率は約30パーセントです。
 非アルコール性脂肪肝の方に特有の症状はなく、欧米では虚血性心疾患が死因の第一位であり、心筋梗塞や心房細動などには注意を必要とします。腎機能障害や胃食道逆流症以外にも睡眠時無呼吸症候群の合併も多く認められます。NAFLDでは、大腸腺腫の発生率が高く、進行に伴って全身の悪性腫瘍(肝がん、大腸がん、女性では乳がんなど)の合併頻度が高くなっていきます。特に糖尿病患者では、肝硬変、肝臓がんの発生率が高いといわれています。
 脂肪肝と診断されたらできるだけ早い年齢から、食生活や運動療法で減量することがNAFLD治療の第一歩です。

(2022年8月5日 サンデーうべ・ワイド掲載)

てらい内科クリニック院長
寺井 佳子先生

■プロフィル

専門:内科一般、消化器科
資格:日本内科学会総合内科専門医、日本消化器学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医

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