宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

最近固形物が飲み込みにくい事があり、のどに異物感がいつもあります。何かの病気のサインでしょうか?(86歳男性)

A.

 嚥下障害(物を飲み込みにくい状態)がある可能性があります。嚥下障害があると飲み込む時にむせたり咳き込んだりしやすくなり、食べ物のかすが口の中に残り汚れていたり、飲み込みやすい物だけ食べるので食事内容に変化があったり、食事時間が長くなる事があります。自覚的にも、のどの違和感やのどに食べ物が残っている感じや食事後に声がかれる事があります。嚥下障害があると誤嚥(水分や食物が気管の中に誤って入ってしまうこと)を生じやすくなり、夜間の咳込みや発熱を生じ、気付かないうちに誤嚥性肺炎につながる事もあり注意が必要です。
 嚥下の状態の評価をするために外来で可能な検査として嚥下内視鏡検査があります。チェックする項目として、のどの奥にある食物の飲み込み口に唾液がたまっているか、のどの刺激で咳が出るか、物がのどを通るとちゃんと飲み込みの動作がスムーズに働くか、短時間の内に物がのどを通り過ぎていくかなどを確認します。
 障害されている部位や疾患やその程度により対処法は様々ですが、のどに食べ物が残り飲み込みが不十分な場合の訓練の方法の一つに頭部挙上訓練があります。ベッドや床の上で仰臥位(あおむけ)になり、両肩を付けたまま足のつま先を見るように頭をあげ、頭をあげたまま一分間そのままの状態にし、一分間休み3回これを繰り返して、その後頭をあげる動作を30回繰り返します。これを1セットとして1日3セット行います。実際にはそれぞれの体力や健康状態を見ながら時間や回数を減らして開始するといいと思います。

(2022年1月14日 サンデーうべ・ワイド掲載)

田原耳鼻咽喉科医院
田原 哲也先生
田原耳鼻咽喉科医院田原先生

■プロフィル

平成元年/山口大学医学部医学科卒業、平成6年/山口大学大学院医学研究科修了、医学博士/日本耳鼻咽喉科学会認定専門医/日本耳鼻咽喉科学会補聴器相談医

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