宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

家族がものを捨てられずにため込んでいます。ゴミにしか見えないので、捨ててほしいと思っていますが、そういうと怒り出し、聞き入れてもらえません。これは何かの病気でしょうか?

A.

 ためこみ症という病気だと思われます。
 ためこみ症とは、多くの人によって不要で価値がないものを大量にためこみ、手放すことが出来ない障害です。新聞、雑誌、古い服、カバン、本、郵便物など、どんなものでもためこみの対象になりえます。
 ためこみ症の患者さんは集めたものを捨てることに強い苦痛を感じます。捨てるだけでなく、リサイクルに出したり、売却するといった方法であっても、同様に苦痛を感じて処分できません。自分がためこんだものに強い愛着を感じて、「まだ使える」と考えてしまうためです。手放すことを「かわいそう」と思い、捨てることに恐怖心を持つ場合もあります。
 ためこみ症の患者さんは、ためこんだもので部屋の中があふれかえり、生活空間を通常に使用することが困難となって、健康を害することがあります。それでもためこみをやめることが出来ません。ニュースで見るごみ屋敷はこの病気が原因で起こることが多いと思われます。
 治療は近縁の疾患である強迫性障害と同様に、SSRIを用いた薬物療法と、認知行動療法が行われますが、強迫性障害に比べて治療が有効でないケースが多く、治療は難渋します。慢性化しやすく、家族や近所の関係性を損なうことになりやすいため、早めに受診・相談されることをお勧めします。

(2022年8月13日 サンデー宇部・山陽小野田掲載)

わたなべクリニック院長
渡邊 俊介先生
わたなべクリニック渡邊先生

■プロフィル

平成19年 山口大学医学部卒業 日本精神神経学会専門医・指導医 日本うつ病学会員 日本児童青年精神医学会員

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