宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

最近、足が冷たく、歩くとふくらはぎのだるさや痺れを感じます。休むと良くなるのですが、歩ける距離が短くなってきています。このまま様子をみてもよいのでしょうか?

A.

 症状から考えると、足の血管が動脈硬化により狭くなったり、詰まったりして血流が悪くなる閉塞性動脈硬化症という病気の可能性があります。
 閉塞性動脈硬化症は、安静にしていると症状はありませんが、歩いた時にふくらはぎだけでなく、太ももや殿部にしびれや冷たさ、力が入りにくいなどの症状が起こります。多くの場合は手と足の血圧を測定するだけの簡単な検査で診断ができ、血管エコーや造影CT等で動脈硬化の状態や血流の低下している部位を把握できます。さらに、血流低下の程度や部位に応じて、色々な治療を選択することが可能です。また、閉塞性動脈硬化症は全身の動脈硬化症の一部でもあり、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管病を合併している可能性もあるため、全身の精査も併せて行う必要があります。
 閉塞性動脈硬化症の診療ガイドラインが数年ぶりに改訂されました。治療薬や治療機器の進歩などの影響で大幅な改定となっています。この度の改定では「市民・患者への情報提供」の章が新設され、「下肢閉塞性動脈硬化症とは、どんな病気ですか?」など12の設問で構成され、解説はわかりやすい文章で書かれています。医療従事者向けのガイドラインでこうした市民向けの章が設けられることは初めてのことで、一般社会に向けた情報の発信も診療ガイドラインの重要な役割となってゆくと考えます。市民の方々が最新の医療情報と繋がれる方法の1つと思われますため、是非一度はご覧になってください。

※インターネットにて「末梢血管疾患ガイドライン」で検索すると市民・患者への情報提供の章(P121〜P128)がご覧頂けます。

(2022年5月28日 サンデー宇部・山陽小野田掲載)

宇部仁心会病院副院長
橋本 弦太先生
宇部仁心会病院橋本先生

■プロフィル

山口大学医学部卒業、日本内科学会総合内科専門医・日本循環器学会専門医
≪所属学会≫日本内科学会・日本循環器学会・日本心血管インターベンション治療学会・日本不整脈心電学会・日本心臓リハビリテーション学会

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