宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

学生時代から友達との会話で聴き取れない事があり、最近飲食店で働いている時に聴き間違いが多く注意されます。難聴でしょうか?(21歳女性)

A.

 まず難聴があるかないか聴力検査をしてみる必要があります。難聴があれば原因となる疾患を確認し、治療をする必要があります。聴力検査をしても聴力の異常がない場合、原因として聴覚情報処理障害の可能性があります。これは外耳、中耳、内耳に問題がなく聴力検査をしても正常なのに話の内容が聴き取れず理解できないものです。原因はまだ特定されていませんが、何らかの脳の機能障害だと考えられています。本人が真剣に言葉を聴き取ろうとしても意味のある言葉として理解できないのです。大人では何らかの脳の器質的障害である頭部外傷や脳梗塞などで生じる例もありますが、小児期で最も多い原因は発達障害傾向です。発達障害と診断されこのような症状があれば可能性が高いと言えます。多くの場合、雑音下での聞き取りにくさを感じている事があり、周囲に雑音がない環境下での会話や文字など聴覚以外での理解や専用の受信機を使い会話の補助に使用する事、繰り返し聞いたり何度も確認するなど周囲の支援や理解と工夫が必要になります。7月9日のNHKニュースでも取り上げられ、大阪市立大で日本国内初の聴覚情報処理障害についての大規模調査をすることが発表されています。今後、色々な情報が提供されてくる事が期待されます。

(2021年8月6日 サンデーうべ・ワイド掲載)

田原耳鼻咽喉科医院
田原 哲也先生
田原耳鼻咽喉科医院田原先生

■プロフィル

平成元年/山口大学医学部医学科卒業、平成6年/山口大学大学院医学研究科修了、医学博士/日本耳鼻咽喉科学会認定専門医/日本耳鼻咽喉科学会補聴器相談医

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