宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

障害を持った60代の独身の兄について相談です。若い頃からの身体障害があり、長年にわたって障害福祉サービスを受けています。相談支援専門員の人にも家族共々良くしてもらい、とても感謝しています。65歳になると障害福祉サービスが介護保険サービスに切り替わり、これまで受けていたサービスが受けられなくなると知り合いから聞きました。突然サービスが打ち切られるととても困ってしまうのですが、実際のところはどうなのでしょうか?(50歳代、女性)

A.

 結論から申し上げますと、すべてのサービスが一方的に打ち切られ、介護保険サービスに移行するというわけではありません。一部、どうしても介護保険サービスでカバーできないものについてはこれまでどおり、障害福祉サービスの利用が認められるケースもあります。もちろん「介護優先」の原則がありますので、これまで受けていた支援と同様の支援が介護保険サービスで受けられるのであれば、原則としてそちらに移行していくことになります。
 もちろん、介護保険サービスでは一定の割合で自己負担を求められることもありますし、戸惑いが多いのも理解できます。
 さて、市町村単位での判断になることが多いようですが、いわゆる「65歳切り替え問題」を前に64歳になった時点で一年間かけて(障害福祉サービスの)相談支援専門員と(介護保険サービスの)介護支援専門員(ケアマネージャー)の間で打ち合わせ、調整が始まります。
 いずれにせよ、医療・介護・障害支援の財政が逼迫してきていることから、現在使用しているサービスを漫然と利用し続けるのではなく、よりよい生活を送るために取捨選択して、必要なサービスは残し、優先度の低い不要なサービスは終了する等の検討が必要でしょう。
 現在の相談支援専門員の人とよく話し合うことが、65歳になって「こんなはずではなかった」という後悔をしないための第一歩と思われます。

(2019年8月28日 サンデーうべ掲載)

波乗りクリニック院長
小早川 節先生
波乗りクリニック小早川先生

■プロフィル

平成10年 山口大学医学部卒業
日本プライマリ・ケア連合学会指導医・総合診療医
同大附属病院総合診療部を経て、平成26年5月 在宅療養支援診療所「波乗りクリニック」開設

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