宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

最近料理を食べた家族から、味付けが濃くなったとよく言われますが、何か病気があるのでしょうか?(65歳女性)

A.

 味覚障害の可能性があります。味覚障害には味が薄く感じられるものから、全く味がわからないもの、本来の味とは異なる味に感じるものや、口の中に何もない状態で苦みや甘みを感じるものなど様々な異常があります。
 原因としては、感じた味を神経を介して脳に伝える経路に問題が生じて起こるもの(脳卒中や頭部外傷、耳の手術時の合併症など)や舌自体に問題があり生じるものがあり、後者の原因によるものが大部分を占めます。代表的なものとしては亜鉛不足があります。舌の表面には乳頭という細かい突起があり、その中に味蕾(みらい)という味を感知する器官があります。新しい味蕾ができる時に必要なのが亜鉛です。亜鉛を多く含む主な食品としては、牛肉・レバー、乳製品(チーズなど)、魚介類(カキやカニなど)、干ししいたけ、海藻類(わかめ、ひじきなど)があり、食生活の偏りや乱れなどから亜鉛の摂取が不足する事があります。その他としては、抗がん剤や降圧剤の作用から亜鉛の排泄量が増えるため亜鉛不足が生じたり、胃腸の手術後に亜鉛の吸収不足から生じるものや糖尿病をはじめ貧血、肝臓病、腎臓病などの全身疾患でも生じる事があります。亜鉛不足以外では口腔内の乾燥・舌の炎症・舌苔(ぜったい)【舌に付いた汚れ】や鼻づまりなどによって嗅覚(におい)障害がおこり味がわからなくなる事、かぜウイルスや喫煙による味蕾の障害やストレスなど心因性の原因もあります。
 症状が続くようであれば一度耳鼻咽喉科を受診してみて下さい。

(2020年1月10日 サンデーワイド掲載)

田原耳鼻咽喉科医院
田原 哲也先生
田原耳鼻咽喉科医院田原先生

■プロフィル

平成元年/山口大学医学部医学科卒業、平成6年/山口大学大学院医学研究科修了、医学博士/日本耳鼻咽喉科学会認定専門医/日本耳鼻咽喉科学会補聴器相談医

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