宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

この春に高校進学を控えた子供の事で相談です。試験に合格したらスマートフォンを買い与えることを約束しています。知り合いの中にはスマートフォンで夜通しゲームやネット動画を見たりして、学校に行かなくなったお子さんもいます。「ゲーム中毒」といわれているようで、手がつけられずに困っていらっしゃるようです。これは誰でもかかるものなのでしょうか?
(40歳代 女性)

A.

 この原稿を書いている時点では、いわゆる「ゲーム依存症・ネット依存症」は正式な病名ではありません。しかし、WHO(世界保健機関)が今年公開予定の国際疾病分類(ICD)の最新版「ICD-11」に「ゲーム症・障害」として採用される見通しです。「人生における他の関心事よりもビデオゲームをすることが優先される」状態になれば、ゲーム依存症(いわゆるゲーム中毒)と考えて良いと思います。原因は色々と言われていますが、特にネットゲームの場合は現実社会でのコミュニケーションに疲れ、精神的な居場所、人間関係を求めて熱中する場合がほとんどです。予防としては、ただ単にネットやゲームから切断するだけでなく、現実世界での充実した人間関係や成功体験、そのほかの楽しい生活を送ることが重要と考えられています。
 スマートフォンを買い与えることを約束しておられるようですが、維持費用は回り回って親御さんが負担することになりますので、「与える」のではなく「貸与」という形にすることが将来、ゲーム依存・スマホ依存になったときに回復しやすくなると思われます。また、夫婦間での認識が異なると後々の問題となります。これは大事な問題なので、高校入学までにスマートフォンの使い方については先に夫婦で話し合い、その後に親子で取り決めをして、その結果を書面に残しておくと良いでしょう。

(2018年2月28日 サンデーうべ掲載)

波乗りクリニック院長
小早川 節先生
波乗りクリニック小早川先生

■プロフィル

平成10年 山口大学医学部卒業
日本プライマリ・ケア連合学会指導医・総合診療医
同大附属病院総合診療部を経て、平成26年5月 在宅療養支援診療所「波乗りクリニック」開設

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