宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

8歳の娘が生来の病弱で、時々、突然高熱を出します。近所の医院などでの治療で治りはしますが、検査しても原因不明で不明熱といわれます。膀胱炎にもよくなり大変心配です。(35歳、女性)

A.

一つの可能性として膀胱尿管逆流症(VUR)という病気があります。尿は腎臓で作られて腎盂から尿管を通って膀胱に流れて、一定量溜まると尿道から体外に排出されます。膀胱は尿を溜めるタンクと、尿を出すポンプの役を同時に行っています。排尿時、尿は尿道から体外へと尿管や腎臓に逆流することなく一方通行で出て行きます。それは、尿管と膀胱の接続部が弁(バルブ)状の構造になっていて、尿が尿管へ逆流せずに排出できるようになっているからです。VURはそのバルブの不具合が原因で、排尿時に膀胱から尿管を伝って腎臓まで尿が逆流して感染症(腎盂腎炎)を起こしたり、また、排尿圧がハンマーのように直接腎臓を障害して「逆流性腎症」という状態になります。膀胱造影や排尿時の尿道膀胱造影で逆流を確認したら、逆流防止術という手術で治すことができます。逆流の程度が軽ければ経過を診る場合もありますが、放置しておくと腎臓障害の進行を止められず腎臓の機能を失う場合もあります。一度専門である泌尿器科で検査されることをお勧めします。

(2025年10月25日 サンデー宇部・山陽小野田掲載)

いそやま泌尿器科クリニック院長
磯山 理一郎先生
いそやま泌尿器科クリニック 磯山先生

■プロフィル

昭和56年:熊本大学医学部卒業 山口大学医学部講師(泌尿器科)
平成2~12年:宇部(旧興産)中央病院(泌尿器科部長)
医学博士 日本泌尿器科学会専門医 日本透析医学会元専門医

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