宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

昨年は、「感染性胃腸炎」に3回かかり、病院を受診しました。生カキや鳥刺し、お寿司などが原因でした。治った後も軟便や腹痛や下痢が起こったりしています。今後日常生活で注意することはありますか。(45歳男性)

A.

「感染性胃腸炎」はウィルス、最近、寄生虫などの病原体が胃腸に感染して起こる病気の総称です。ノロウィルスやロタウィルスなどの感染で起こる「ウィルス性胃腸炎」は、冬から春先にかけて多く、カンピロバクター、サルモネラ菌、病原性大腸菌などの細菌感染で起こる「細菌性胃腸炎」は、最近が増殖しやすい夏場に多い傾向があります。
症状は、原因となる病原体によりさまざまです。一般的には発熱、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などがみられ、下痢は血便をともなう場合もあります。病原体の診断には、便の細菌培養、ウィルス高原検出などがありますが、結果が出るまでに時間がかかることがあり、また健康保険の適応がない場合もあるため、日常の診療では食べたものや症状の経過から判断します。
感染性胃腸炎の予防方法ですが、原因となる病原体は、基本的には十分な加熱処理により死滅する事が多いため、よく火の通ったものを食べることが大事です。調理や食事の前、トイレの使用後、嘔吐物の処理後には、十分な手洗いや消毒をきちんと行うことも重要です。
一方で、感染症全般にいえることですが、病原菌が体内に入っても、感染する人としない人、また軽症ですむ人と重症化する場合があります。これには病原体から体を守る仕組みである免疫の働きが関係しています。免疫の働きが低下すると感染症にかかりやすく、また重症化しやすくなります。免疫の働きが低下するのは、加齢のほか、睡眠不足、栄養不足、運動不足、過度のストレスなどで起こるとされているため、日常生活に気をつけ、生活習慣を整えることが大切です。
また一部の患者さんでは、感染性胃腸炎が治癒した後も、腹痛や下痢が持続する場合があります。これを「感染後過敏性腸症候群」と呼んでいます。特効薬はありませんが、かかりつけ医に相談しながら、症状を軽減するための治療を根気よく続けて行くことが大切です。

(2024年1月5日 サンデーうべ・ワイド掲載)

てらい内科クリニック院長
寺井 佳子先生

■プロフィル

専門:内科一般、消化器科
資格:日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医

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