宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

新型コロナワクチン接種が不安なのですが…(55歳女性)

A.

 ワクチンにはインフルエンザワクチンのようにウイルスの感染症を失わせた不活化ワクチンなどがあります。
 メッセンジャーRNA(mRNA)は蛋白を作り出す際に鋳型となる遺伝物質でこれを体内に注入すると細胞に取り込まれてウイルスタンパク質が産生され、異物として認識され抗体の産生などがおこります。日本で主に使用されているファイザー社やモデルナ社製のワクチンはこの方法を使っています。前者は開業医などの個別接種に使用され、後者は集団接種に使用されています。同じワクチンを受けることが必要です。両社とも95%近くの有効性があります。また発症した人の重症化予防効果もあり、2回接種より7~14日間で効果が発揮されるとされています。主な副反応には接種部分の痛み、腫れ、筋肉や関節痛、頭痛、疲労、寒気、発熱、下痢、倦怠感などで、1回目より2回目が高頻度にあるようです。
 最も重篤な副作用がアナフィラキシーです。インフルエンザワクチンが100万人中1.3人の頻度に対して、両者とも100万人中数人から50人程度の頻度とされています。接種後から蕁麻疹、発赤、腹痛、視覚の異常、声のかすれ、呼吸困難、蒼白、意識混濁があればすぐスタッフに知らせる必要があります。通常は30分以内に起こるとされています。
 ワクチンが接種できない人は発熱のある人、急性疾患の人、ワクチンの成分にアレルギーのある人です。特にポリエチレングリコールに過敏な人です。これは腸の検査用洗浄剤、ヘア、スキンケア、洗剤などに含まれています。実際には注射薬、ワクチン、食べ物、虫さされなどで強いアレルギーを起こしたことのある人は、注意が必要です。種々の変異株も出現しており、さらに接種後の感染予防も必要です。

(2021年7月2日 サンデーうべ・ワイド掲載)

吉中内科医院院長
吉中 博志先生
吉中内科医院 吉中院長

■プロフィル

金沢大学医学部卒業。山口県立中央病院、山大内科系大学院、宇部興産中央病院などを経て昭和60年に開業。日本臨床内科学会専門医。

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