宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

感染症にかかりにくい体質にする為にできる事がありますか(50歳代男性)

A.

 感染症などにかかりにくくする「免疫」には、ウイルスなどの侵入から入口で防御する(1)粘膜免疫と、体内に侵入したウイルスなどに対して働く(2)全身免疫と呼ばれているものがあります。後者には2種類あり、生まれながら保有する自然免疫と呼ばれるものと、風邪などのウイルスにかかった後から初めて増えてできる獲得免疫があります。インフルエンザは接種後2週間前後で、この獲得免疫を人為的に作るものの一つです。
 免疫力は低下すると風邪をひきやすくなり、疲れやすく、アレルギーを引き起こします。20~30歳をピークに年々低下し、65~70歳以上になると重症化しやすく感染しないよう特に注意が必要です。免疫力向上には①免疫細胞が多く集まっている腸内環境を整える②体温を上げる③ストレスを解消するなどがあります。
 腸に良い食べ物の海藻、キノコ、山芋などのねばねば食品は食物繊維が多く含まれています。味噌、納豆、キムチなどの発酵食品も整腸作用があります。反対に砂糖や塩の取りすぎや、揚げ物やハムなどの高脂肪食な食品、アルコールの取りすぎは腸内環境を悪くします。またバランス良く食べる事も大事です。卵、鶏肉、しらす干しなどの良質なたんぱく質や、ニンジン、キウイ、ブロッコリー、かぼちゃ、アーモンドなどのビタミン豊富な食べ物やポリフェノール含有食品も推奨されています。生姜は体を温めますし、ペットボトル飲料水の取りすぎは体を冷やすので注意が必要です。
 運動は日々の軽い運動がよく、ウォーキング、スクワット、ラジオ体操、太極拳、ヨガなどですが、時間のない人は買い物、掃除などの日常の活動、ガーデニングもおすすめです。激しすぎる運動はかえって免疫力を下げると考えられています。
 入浴で適温は40~41℃前後くらいでリラックスできます。早寝早起きなどで朝日を浴び、脳の覚醒サイクルを整え、6~7時間の十分な睡眠も大事です。漢方薬では胃腸機能の低下による気力、体力を補うとされる補中益気湯を服用していると免疫が向上すると考えられています。
 既に今流行している感染症に対してはマスク、うがい、手洗い、換気などに心がけ、免疫力を高める習慣を合わせて実行していくことが大事だと思われます。

(2020年11月6日 サンデーうべ・ワイド掲載)

吉中内科医院院長
吉中 博志先生
吉中内科医院 吉中院長

■プロフィル

金沢大学医学部卒業。山口県立中央病院、山大内科系大学院、宇部興産中央病院などを経て昭和60年に開業。日本臨床内科学会専門医。

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