宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

若いころは快便でしたが、70歳になってからは便秘になりとても悩んでいます。排便時にいきむと血便が出て、トイレットペーパーに鮮血が付着することがあります。大腸内視鏡検査を受けましたが、大きな痔やポリープなどの異常所見はありませんでした。出血の原因は何でしょうか。下剤は酸化マグネシウム錠を内服しています。(73歳女性)

A.

便秘は若い世代では女性に多いですが、70歳代を過ぎると便秘に悩む人が増え、男女の差はなくなります。大腸内視鏡検査で、出血の原因となるものが見つからなかったことは安心です。便秘になってから血便が見られたことから、排便時にいきむといった排便習慣の変化が、出血の原因になった可能性があります。ごく軽度の内痔核でも便が硬かったり強くいきんだりすることによって、排便時に出血することがあります。便が形のない泥状便であったり、最初は硬くてその後軟便になったりする場合は、下剤の服用が適切でない可能性があります。泥状便は大腸の奥にたまっている便で、泥状便が出るということは下剤が効きすぎている可能性があります。この場合は便の貯留が少なくなる一方で、腸の蠕動運動が活発になるため、便の貯留とは無関係に残便感や便意が生じ、本人は無理やり便を出そうといきんでしまいます。その過剰ないきみが内痔核を悪化させ、出血の原因となることがあります。このような場合は、下剤服用に頼るだけでなく、便のかさを増やす働きを持つ食物繊維をバランスよくとることや、近年の研究で胆汁に含まれる脂肪吸収に関わる物質である胆汁酸が、腸の働きにも関わっていることがわかってきました。このことから、快便を目指すなら適度な脂質をとることが大切です。食事で油(オリーブオイルやえごま油など)や卵料理などを食べ、水分をしっかりとるように心がけてください。またトイレで3分以上いきまないようにすることも大切です。

(2024年7月5日 サンデーうべ・ワイド掲載)

てらい内科クリニック院長
寺井 佳子先生

■プロフィル

専門:内科一般、消化器科
資格:日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医

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