宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

糖尿病で治療をしています。糖尿病網膜症ではどのような自覚症状が出るのでしょうか。(53歳、男性)

A.

 糖尿病により網膜の血管が徐々に障害されることで糖尿病網膜症が発症します。
 糖尿病網膜症で視力障害が生じる主要な原因は、①黄斑部の微小血管の障害によって血液の血漿成分(血液の中の血球成分以外のもの≒血液中の水分)が漏出することによる黄斑浮腫(眼底のものを見る部分のむくみ)、②網膜にできた新生血管(新しくできた出血しやすい血管)からの硝子体出血(眼球内への大きな出血)です。
 黄斑浮腫は糖尿病網膜症が進行した症例で多くみられますが、糖尿病網膜症の初期でも生じることがあります。放置すれば多くの場合は徐々に視力が低下するので治療が必要です。
 硝子体出血は進行した糖尿病網膜症のみでみられ、飛蚊症を生じたり、突然の強い視力障害が現れたりします。失明の恐れのある重篤な状態ですので早急な治療が必要です。
 糖尿病網膜症で自覚症状が現れた場合には病状がかなり進行していて重篤な場合が多いので、糖尿病と診断されたら自覚症状が無くても、直ちに眼科を受診して定期的な診察を受けることが大切です。

(2020年9月12日 サンデー宇部・山陽小野田掲載)

くまがい眼科院長
熊谷 直樹先生
くまがい眼科熊谷先生

■プロフィル

横浜市大医学部卒業、同大学院修了 医学博士
横浜市立大学医学部眼科講師、山口大学医学部眼科助教授を経て
平成19年くまがい眼科開院 日本眼科学会認定眼科専門医など

過去の相談