宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

50歳代の男性です。会社で健診を受けました。HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が5.7%ありました。知人からHbA1cと記憶力の低下には関係があるから気を付けた方がいいと言われました。どうすればいいのでしょうか?

A.

 なぜ高血糖が物忘れを引き起こすのか。その鍵を握るのが膵臓から出るインスリンです。
インスリンは体の細胞に糖を取り込むよう指示を出し、血糖値を調整する役割を担っています。脳でも同様に働いていますが、食べ過ぎや運動不足などによって血糖値が高くなると、脳に届くインスリンの量が減ってしまうことがわかってきました。その結果、特に脳の中でもインスリンを必要とする記憶力や注意力に関係する機能に影響が出て、物忘れをしやすい状態になってしまうと考えられています。血糖値に以下の特徴がある方は、高血糖が原因で物忘れが起きているかもしれません。

・HbA1c
65歳未満の方 5.7% 以上
65歳以上の方 6.2% 以上
※HbA1cは1~2か月の血糖値の平均を示す値です。
・食後2時間後の血糖値 140mg/dL 以上

 最新の研究では、高血糖と認知症は密接に関係していると考えられ始めています。高血糖の状態が続くと神経細胞がダメージを受けます。この状態が長引くと、認知症で最も多いアルツハイマー病になってしまう可能性が高まると考えられています。血糖値が高い人は生活習慣を見直して血糖値をコントロールすることが、認知症の予防につながります。生活習慣の見直しをお勧めします。

(2018年8月22日 サンデーうべ掲載)

金沢守クリニック院長
金沢 守先生
金沢守クリニック金沢先生

■プロフィル

平成2年:山口大学医学部卒業
山口大学医学部附属病院、宇部記念病院、阿知須同仁病院などを経て平成23年9月7日「金沢守クリニック」を開業

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