宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

80代の母親の介護保険について相談です。数年前から認知症のような症状が出始めました。少しでも刺激になればと思い、介護保険を申請してしばらくはデイサービスに通っていましたが、徐々に行かなくなってしまいました。その後は心配していた事態にはならず、比較的穏やかに自宅で一人暮らししています。現在、介護保険は全く使っていないのですが、この場合も要介護認定の更新手続きはしておいた方がいいのでしょうか?(50歳代、女性)

A.

 結論から申しますと、介護保険の申請や更新は必要になったときに迅速に対応すれば良いことで、あらかじめ準備が必要というわけではありません。
 何らかの事情で介護保険の申請を行い、その後サービス利用が途絶えてしまう方もかなりの数に上ります。実際には更新を行った人の2割くらいは介護保険を使っていないと言われています。更新のためには調査員の手間や人件費、主事意見書の作成など、結構な額の税金が必要とされますので少々もったいないと思われます。
 お守り代わりに利用予定のない介護保険の申請や更新を行う人もおられるようですが、実際には、必要になったときに遡って介護保険は適応されるため、必要としたときが申請・更新をするタイミングと考えていただいて大丈夫です。
 また、役所からの更新勧奨通知があると、サービスを利用していない人もなんらか更新しないといけないと思い込んでしまうようです。そのため勧奨通知を行わない市町村も増えてきているのが実情です。
 お母様の場合、いずれは介護保険サービスの利用が必要になると思われますが、その時に地域包括センターや居宅介護支援事業者に依頼することで迅速な利用開始が可能ですので、今回の更新は見送っても良いのではないかと思われます。お母様の状態をよく見守り、不安な事がないか聞いて差し上げてください。

(2020年1月8日 サンデーうべ掲載)

波乗りクリニック院長
小早川 節先生
波乗りクリニック小早川先生

■プロフィル

平成10年 山口大学医学部卒業
日本プライマリ・ケア連合学会指導医・総合診療医
同大附属病院総合診療部を経て、平成26年5月 在宅療養支援診療所「波乗りクリニック」開設

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