宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

40歳、男性。会社の健康診断で行った心電図検査で「不完全右脚ブロック」と言われました。35歳の時は何も言われなかったのですが、心臓が悪いのでしょうか?心配です。

A.

 心臓は電気信号によって指令を受けて動いており、電気信号の流れは洞結節と呼ばれる組織によって行われています。洞結節は心臓の右心房開口近くにあり、一定のリズムで自動的に刺激を生み出す自然のペースメーカーの働きをしています。
 ここで電気的興奮が起こると、まず左右の心房に電気的興奮が伝わり、その後心臓の中心にあるヒス束と呼ばれる経路を通って枝分かれし、左右の心室に伝わるようになっています。枝分かれした所が右脚・左脚と呼ばれています。1分間に凡そ60~80回(脈拍)くらいの電気刺激がつくられ、これが心臓の筋肉の中を通って心臓の収縮を促します。心房と心室が定期的に収縮することで血液を送り出すポンプの運動が行われるようになっているのです。
 「右脚ブロック」の場合、完全に右脚の電気回路が途切れてしまっているのを「完全右脚ブロック」、不完全に途切れてしまっているのを「不完全右脚ブロック」といいます。だからといって心臓の右側に電気が流れなくなる訳ではなく、左側に伝わったものが遅れて右側にも流れて来るようになっています。しかしそうなると、本来は同時に収縮するはずの右室と左室で動きのズレが生じることになります。右脚は左脚と比べて電気回路の繊維が細いためより障害を受けやすく、右脚ブロックは1000人に3人程度の頻度で見られます。比較的よくあるもので、これを指摘されたからといって心臓に病気があるという訳ではありません。しかし、心臓疾患の症状の一つとして現れることがあるので、念のため循環器内科受診をお勧めします。今回のように35歳の健康診断では指摘されなかったのに40歳の健康診断で初めて不完全右脚ブロックを指摘されたという場合など、変化があった際には要注意です。
 最後に心臓の病気には生活習慣が大きく関わっています。普段から食事や運動に気を配り、規則正しい生活を送ることも大切ですね。

(2017年8月9日 サンデーうべ掲載)

サンポプラ病院院長
南園 宗子先生
サンポプラ病院南園先生

■プロフィル

平成6年 山口大学医学部卒業 日本腎臓学会専門医 日本透析医学会専門医 日本内科学会認定医 日本医師会認定産業医(所属学会:日本腎臓学会、日本透析学会、日本内科学会、日本糖尿病学会)

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