宇部市・山陽小野田市・山口市の「このまち医療ガイド」

医療相談Q&A こんな症状には
どうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデー各紙で掲載中の「医療相談Q&A」「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。
※このコーナーは、よくある病気や症状について専門医の立場から解説していただくもので、読者からの相談を受けて回答するものではありません。

Q.

以前から胃もたれや胃痛に悩まされていて、毎年胃内視鏡検査を受けていますが、結果は年齢的な胃炎のみで、異常なしと言われています。胃酸分泌抑制と胃粘膜防御因子製剤を処方されましたが、効果はありませんでした。最近は、少し食べただけですぐにお腹いっぱいになってしまうという症状や吐き気を認めることもあり、機能性ディスペプシアと診断されました。どうしたら胃の調子が良くなるでしょうか。(38歳、女性)

A.

 胃痛や胃もたれ、食欲不振、胸やけ、すぐにお腹いっぱいになる早期満腹感など不快な症状があり、胃の内視鏡検査をしても腫瘍やがんなどの異常が見つからなくてもこのような症状が慢性的に起こる人がいます。以前は神経性胃炎や慢性胃炎と診断されていましたが、近年こうした胃の症状を認める患者さんは、自律神経の働きの乱れによる胃の働き(機能)の異常から症状があらわれていることがわかってきて、機能性ディスペプシアとよばれるようになりました。機能性ディスペプシアの場合、症状を起こしているのは、胃の働きが悪くなる運動機能障害や、胃酸などの刺激に敏感になる内臓知覚過敏と考えられています。運動機能異常で、胃に入った食べ物を腸に送り出すという胃の動きが悪くなると、食べたものが胃に滞って、胃もたれやお腹の張りが起こったり、早期満腹感が起こったりします。一方で、内臓知覚過敏があると、少しの胃酸の逆流などの刺激にも可能に反応して、痛みなどを感じます。発症の背景にある自律神経の働きの乱れには、ストレスや生活習慣などの関りが大きいと考えられ、一部には、ヘリコバクターピロリ菌感染の関わりが考えられるケースもあるといわれています。
 機能性ディスペプシアの治療は、薬物療法と生活改善が中心になります。アコチアミドという運動機能改善薬が6年前に発売され、服用した人の約6~7割で症状がよくなる効果が認められています。副作用はほとんどなく安心して服用できます。食事や睡眠時間が不規則であると胃腸の働きは乱れるため、規則正しい生活を心がける必要があります。また、胃腸のぜん動運動は自律神経にコントロールされているため、ストレスはできるだけためずにこまめに解消したり、ウオーキングなどの運動を習慣化するなど、自律神経を乱さないための心がけも大切です。

(2019年9月6日 サンデーワイド掲載)

てらい内科クリニック院長
寺井 佳子先生
てらい内科クリニック寺井先生

■プロフィル

専門:内科一般、消化器科
資格:日本内科学会認定内科医、日本消化器学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医

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